
【お申し込み809名様】ショート動画マーケティング研修の実施レポート|視聴維持率の考え方
最終更新日:2026年7月29日
【809名お申し込み】Startup Hub Tokyo丸の内様主催「Instagramマーケティング<動画編>」実施レポート|リールが伸びるかを決めるたった1つの指標
執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
リールが伸びるかどうかを決めるのは、再生回数でもフォロワー数でもなく「視聴維持率」です。視聴維持率とは、視聴者が動画をどれくらい見続けたかを示す指標。同じ30秒視聴でも、動画の尺が長いほど維持率は下がるため、動画に慣れないうちは十数秒の短い尺で「最後まで見てもらう」体験を積むのが最短ルートになります。
本記事は、2024年7月23日にStartup Hub Tokyo丸の内様主催で実施し、809名のお申し込みをいただいたオンライン講座の実施報告です。撮影のNG3選・編集のNG9選・冒頭1秒のキャッチコピー5類型まで、当日お伝えした内容を再構成してお届けします。
- 各SNSが「いい動画」と評価する唯一の指標と、Instagramでの確認方法
- フォロワー数からエンゲージメントへ変わったアルゴリズムの実際
- 撮影で必ず起きるNG3選と、素材を増やす6つの具体策
- 編集のNG9選と、冒頭1秒を突破するキャッチコピー5つの型
- ストーリーズとハイライトの役割分担、2024年時点の最新仕様
1. なぜ今、創業期の事業者にショート動画なのか
結論:広告費をかけずに「認知」を広げる手段として、現時点で最も効率がいいのがショート動画だからです。
1-1. 情報収集の主役は「文章 → 写真 → 動画」へ移った
SNSで集客したいと考えたとき、第一歩は必ず認知の拡大です。そして情報を受け取る側の主役は、文章から写真へ、写真から動画へと移ってきました。時代を象徴する発信者の呼び名がブロガー → インフルエンサー → クリエイターと変わってきたことが、その移行をそのまま表しています。
情報量の差も明確です。Forrester Researchのジェームズ・マックイヴィー博士の試算では、1分間の動画が持つ情報量は一般的なWebページ数千ページ分に相当するとされています。読むことは頭を使う行為ですが、見ることはぼんやり眺めることもできる。この負荷の低さが「自分にもできそう」という共感を生みます。
1-2. 生活者の半数以上がショート動画を利用している
数字の裏づけもあります。スターミュージック・エンタテインメントが運営する「Star Creation」が公開した「ショート動画白書 vol.3」によれば、生活者の5割超がショート動画を利用しています。さらに購買への影響を感じている層は、2023年2月から11月のわずか9か月で55.6%から69.4%へ増加。逆に影響を感じていない層は44.4%から30.6%へ減っています(調査時期:2023年11月/本調査1,400サンプル)。
つまり、動画は「まだ様子見でいい領域」ではなくなっているというのが、創業期の方にまずお伝えしたかった前提です。
2. 実施概要|全3回シリーズの最終回として
本講座は単発ではなく、5月の<文章編>、6月の<写真編>に続くシリーズ最終回です。文章で感情的価値を、写真で世界観を、動画で擬似体験を届ける。3回を通して受講者が発信の全体像を掴めるよう設計しています。
3. いい動画かどうかを決めるのは「視聴維持率」である
結論:各SNSが〝いい動画〟と評価する指標は、再生回数ではなく視聴維持率です。講座ではこの問いをクイズ形式で投げかけました。多くの方が「再生回数」「いいね数」と答えますが、正解は視聴者が動画をどれくらい見続けたかを示す視聴維持率です。
3-1. 同じ30秒視聴でも、尺が違えば評価は変わる
同じ30秒の視聴時間でも、尺が長いほど維持率は下がります。だからこそ、最初は十数秒の動画を作り、まず最後まで見てもらうことを最優先する。これが動画に慣れていない事業者にとって最も再現性の高い戦略です。
3-2. Instagramで実際に見るべきインサイト項目
Instagramは現時点で視聴維持率の詳細を公開していません。そこで代わりに見るのが、インサイトの「平均再生時間」です。動画の尺に対して平均再生時間が何%にあたるかを計算すれば、維持率の近似値が取れます。
なおインサイトはInstagram公式の無料分析ツールですが、個人用プロフィールのままでは表示されません。プロアカウント(ビジネスプロフィール)への切り替えが前提になります。ここでつまずいている方が、毎回一定数いらっしゃいます。
参考までに、いわゆる「バズ」と呼ばれる状態の目安は次のとおりです。
直近のリールで、平均再生時間 ÷ 動画の尺は何%でしたか。まずこの1つの数字を出すことが、動画改善のスタート地点になります。
4. フォロワー数の時代は終わった|評価軸はエンゲージメントへ
結論:2022年以降、リーチを決めるのはフォロワー数ではなく投稿ごとの反応率です。
かつてはフォロワー数の多いアカウントがリーチで有利でした。しかし2022年4月にアカウント単位のエンゲージメント重視へ、さらに2024年4月には投稿ごとのエンゲージメント重視へと変化しています。TikTokに近いアルゴリズムに寄ってきた、と言い換えてもいいでしょう。これは新規アカウントにとって朗報です。開設したばかりでも、反応の良い1本があれば届く構造になったからです。
4-1. 「初速の反応」を作る5つの指標
- シェア:メッセージやストーリーズで再共有されたか
- 滞在時間:どれだけ長く見られたか
- 保存:後で見返す価値があると判断されたか
- コメント:反応を書き込むほど心が動いたか
- いいね:最も軽い、しかし基礎となる反応
裏を返せば、プレゼントキャンペーンなどで反応しないフォロワーを大量に抱えたアカウントは、むしろ不利になります。フォロワー数を買いにいく施策が、そのまま自分の首を絞める時代になったということです。
Instagram公式によれば、リールの1日あたりの再生回数はFacebookと合わせて1,400億回以上。利用者の半数以上が週1回以上リールに何らかのアクションを起こしており、メッセージで再シェアされるコンテンツの半分以上をリールが占めています(出典:Instagram for Business)。プラットフォーム側が最も後押ししている機能に乗るのは、合理的な判断です。
5. 撮影で必ず起きるNG3選
結論:編集技術より前に、撮影段階で勝負はほぼ決まっています。
5-1. NG1:素材が少なすぎる
最も多いのがこれです。1ショットでいい絵を撮るのはプロでも至難の業。それにもかかわらず、多くの方が数カットしか撮らずに編集に入ってしまいます。
目安をお伝えします。15秒の動画を作るために、写真と動画を合わせて80枚前後。この数字を聞いた瞬間の反応が、講座で最も大きかったポイントのひとつでした。素材を増やす具体策は6つです。
- アングルを変える:カメラで写す角度を意図的に変える
- 引きと寄せ:全体像と細部を必ず両方撮る
- 人を入れる:手元だけでも人間味が出る
- 室外での撮影:光と背景が変わるだけで別カットになる
- 色違い・デザイン違いを並べる:同じ大きさで並べると絵になる
- カラーや系統でまとめる:統一感のあるカットが増える
商品数が少ない事業者でも、この6つで素材量は数倍になります。
5-2. NG2:カメラの性能が追いついていない
スマートフォンのカメラで十分ですが、機種は新しいほど有利です。iPhone・Androidともに、できれば2021年以降のモデルの使用をおすすめしています。
5-3. NG3:手ブレが離脱を生む
手ブレは見ている人にストレスを与え、そのまま離脱の原因になります。両手でしっかり支える、歩くときはゆっくり歩く、カメラを動かすときもゆっくりを意識する。この3つを徹底するだけでも変わりますが、頻度が高いならジンバル(スタビライザー)の導入が確実です。数千円のもので十分に効果が出ます。
6. 編集のNG9選|多くの方がここでつまずく
結論:伸びない動画には共通の型があります。当日お伝えした9つのNGを、そのまま自己点検のチェックリストとしてお使いください。
- 企画をしていない:ゴール設定がないと目的がブレる。文章も写真も動画も同じです
- 同じ映像が3秒以上続く:テンポと場面展開がないとスキップされます
- 冒頭1秒を作り込めていない:後ろにどれだけ有益な情報があっても届きません
- 画角にメリハリがない:アングルの変化、引きと寄せで解消できます
- 文字の位置がずれる:上に出たり下に出たりすると、見ている人が疲れます
- フォントを統一していない:フォントも一つのブランディングです
- 画像ばかり使っている:動きがないため飽きられ、次へ飛ばされます
- 難しい用語を使っている:専門用語で話すほど、理解できる人の母数が減ります
- 映像だけではイメージが湧かない:音を消しても伝わるかを基準にします
8については、講座で具体例を出しました。「ローンチを行いCPA・CPOを下げます」という表現を、「新しい商品やサービスの発表から販売に向けて戦略を立て、広告費用を少なくします」と言い換える。伝わらない言葉は、存在しないのと同じです。
7. 冒頭1秒を突破するキャッチコピー5つの型
結論:冒頭1秒は、センスではなく心理学の型で作れます。
いま作りかけの動画があれば、1本目のテロップをこの5つの型で書き換えてみてください。型を知っているだけで、冒頭のストックは無限に作れます。
8. ストーリーズは「親密度」を上げる装置である
結論:リールが新規獲得なら、ストーリーズはファン化の担当です。InstagramがほかのSNSと決定的に違うのは、DMとストーリーズをアクティブに使う人が多いこと。Instagramはアルゴリズム上「親密度」を重視しており、親密度を上げる要素は通常投稿へのリアクション、ストーリーズでのリアクション、そしてDMです。
8-1. ストーリーズとハイライトは役割が違う
私自身はストーリーズの比率をプライベート50%/仕事50%(内訳:お役立ち情報30%・お客様の声や宣伝20%)に置いています。宣伝だけになった瞬間に見られなくなるからです。
8-2. リアクションスタンプを置く位置には理由がある
細かい話ですが、講座で意外に反応があったのがこれです。右利きの人がスマホを持ったときの親指の位置にリアクションスタンプを置くと、タップ率が上がります。URLも同じ原理です。アンケートは4択まで作成でき、質問は自由記述、クイズは正誤形式と、目的に応じて使い分けられます。
8-3. 2024年時点で押さえたい2つの実務
- ストーリーズのハッシュタグは有効ではない:2019年には検索時にアイコンが光る仕様、2023年にはクリックで一覧表示という仕様がありましたが、順次縮小され、現在はつけなくて問題ありません
- 「お題」機能は閲覧率が伸びやすい:通常投稿の2〜3倍になることもあります。①お題で閲覧率を伸ばす → ②宣伝したいことを挟む → ③お役立ち情報で締める、という3枚構成がビジネス活用の基本形です
なお、フォロワー以外に届けたい場合の答えは位置情報の追加です。ただし「位置情報をつけたらフォロワーが急増する」ということはありません。店舗ビジネスであれば、近隣の駅やエリア、自店舗の場所を定期的に使う程度の期待値が現実的です。
9. 現場で最も反応が大きかったポイント
809名という規模の講座で、質疑を含めて反応が集中したのは次の3点でした。
- 「15秒の動画に80枚前後の素材」という具体的な数字:感覚で撮っていた方が、撮影量の基準を初めて持てたという反応が多くありました
- フォロワー数ではなく投稿ごとの反応率というアルゴリズムの変化:創業期でフォロワーが少ない方にとって、これは不利の解消として受け止められます
- リールのテンプレート機能:編集への心理的ハードルが高い方ほど、既存テンプレートに素材を差し込むだけで形になる点に安心されていました
創業期の方の悩みは「何を作ればいいか分からない」以上に、「自分にできる気がしない」という着手前の壁にあります。数字の基準と、テンプレートという逃げ道の両方を用意すること。これがこの層に向けた研修設計の要だと、改めて感じた回でした。
10. よくある質問(FAQ)
リールは何秒くらいの長さで作るのが正解ですか?
動画に慣れていない段階では、十数秒から始めることをおすすめします。視聴維持率は「見られた秒数 ÷ 動画の尺」で決まるため、尺が長いほど不利になるからです。まず最後まで見てもらう体験を積んでから、徐々に伸ばしてください。
フォロワーが少なくてもリールは伸びますか?
伸びます。2022年以降、Instagramのアルゴリズムはフォロワー数よりも投稿ごとのエンゲージメント(シェア・滞在時間・保存・コメント・いいね)を重視する設計に変わりました。開設したばかりのアカウントにもチャンスがある構造です。
動画編集の経験がなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。Instagram純正のリールテンプレート機能を使えば、既存の型に自分の素材を差し込むだけで形になります。もう少し凝りたい場合はCanvaが選択肢で、商用利用可・PCとスマートフォンの両方に対応しています。
ストーリーズにハッシュタグはつけたほうがいいですか?
現在は有効ではないため、つけなくて問題ありません。フォロワー以外への露出を狙うなら、位置情報の追加のほうが現実的です。
この研修は他の業界・他の対象者でも依頼できますか?
可能です。株式会社PR NETでは創業支援機関のほか、企業・自治体・商工会議所などで研修や講演を実施しており、業種や受講者の習熟度に合わせて内容を設計しています。
研修時間や実施形式の目安を教えてください。
本講座は70分・オンライン形式でしたが、60分の講演型から半日〜1日のワーク付き研修まで対応しています。オンライン・対面いずれも可能で、アーカイブ配信の可否も含めてご相談いただけます。
11. まとめ|文章・写真・動画、それぞれが担う役割
いい動画とは、視聴維持率の高い動画です。1秒でも長く見てもらえるように、連続性を押さえ、映像と言葉で惹きつける。それが<動画編>の結論でした。そして全3回シリーズ全体の結論は、次の3行に集約されます。
- 文章:感情的価値の提供
- 写真:美学のある世界観
- 動画:スマホを通した擬似体験
どれか1つが正解なのではなく、3つが揃って初めて「世界観」が成立します。トレンドは動画に寄っていますが、その根底にある「誰に、何を、どう感じてほしいか」という本質は変わりません。本質とトレンドの両方を扱う。それが本シリーズを通じた設計思想でした。
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)
株式会社PR NET 代表取締役。SNS×AI領域に特化した研修・セミナー・コンサルティングを提供。ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など、大手企業から公的機関まで延べ15,000名以上にSNSとAI活用の研修を実施。「SNSは24時間365日働く営業マン」という思想のもと、広告費に頼らないSNS集客の体系化を専門とする。
🎯 SNS・ショート動画活用の研修をご検討の方へ
創業支援機関・企業・自治体向けに、受講者層と目的に合わせた内容設計からご提案いたします。同様の研修・講演のご相談は、株式会社PR NETまでお気軽にお問い合わせください。