
【新宿ビジネスステーション様】AIを活用したSNS投稿術の実施レポート
最終更新日:2026年7月24日
新宿ビジネスステーション様主催「AIを活用したSNS投稿術」実施レポート|定員60名に87名のお申し込み、2年連続で登壇しました
執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ14,800名以上にSNS研修を実施)
💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
AIで投稿を作ると信用を落とすかどうかは、「使うか使わないか」ではなく「どこに使うか」で決まります。お客様が「リアルに確かめたい部分」=核心は人間が語り、理解を助ける周辺情報はAIで効率化する。これが、SNS×AI時代に選ばれ続けるための設計です。
本記事では、2026年6月18日に新宿ビジネスステーション様主催で実施したセミナーの実施報告とあわせて、AIの使い分けを見極める3つの軸、明日から使えるAI活用の3レベル、業種別の早見表までを公開します。
- なぜ今、小さな会社ほどSNS×AIで勝てるのか
- AIに任せる部分と人が語る部分を見極める3つの軸
- 業種別「核心と周辺」の使い分け早見表
- 明日から実践できるSNS×AI活用法(Level1〜3)
- 2026年のInstagram「Your Algorithm」時代への対応
- SNS×AI活用でよくある3つの失敗
1. なぜ今、小さな会社ほどSNS×AIで勝てるのか
結論から申し上げます。広告費も専任の広報担当者もいない小さな会社こそ、2026年のSNSでは有利な立場にあります。
理由は、SNSの評価軸が「拡散力」から「文脈」へ移ったからです。生活者が情報の信頼源として見ているのは、すでに企業やメディアではなく、実際に体験した人の言葉です。消費の動機も、コスパや便利さから、共感や応援へと変わりました。
つまりSNSは「何を発信するか」ではなく、「誰として存在するか」を問う場所になっています。
ここで言う文脈とは、その人が何を考え、どういう価値観で、誰に向けて発信しているのかが積み重なっている状態のことです。
たとえば「新しい産直りんごが届きました」は情報です。一方で、1991年の台風で青森県の約40万トンのりんごが落ち、被害総額741億円という被害のなかで、それでも枝に残ったりんごがあった。生産者がそのりんごに「どんな逆境でも落ちない」という意味を重ね、受験生に向けて「落ちないりんご」として届け始めた——これは文脈です。
同じ商品でも、届き方はまったく違います。そして文脈は、資本力では買えません。ここに、小さな会社の勝機があります。
2. セミナー実施概要|新宿ビジネスステーション様主催(2年連続)
新宿ビジネスステーション様では昨年度もセミナーを担当させていただき、今回で2年連続の登壇となりました。継続してお声がけいただけたこと、心より感謝申し上げます。
そして今回は、定員60名に対して87名の方にお申し込みをいただきました。定員の1.4倍を超える反響です。この数字そのものが、いま多くの経営者が「AIをどう使えばいいのか」という問いを抱えている証拠だと受け止めています。
なお新宿区は、私にとって事業の原点でもある場所です。2013年、新宿高島屋から徒歩1分の立地で、学生が無料で使えるフリースペース「賢者の選択 Project for Youth『賢者屋』」の創業メンバーとして活動をスタートしました。その街で2年続けて登壇の機会をいただけたことを、嬉しく思っています。
3. AIに任せる部分、人が語る部分を見極める3つの軸
この章が、90分の中で最も反応の大きかったパートです。
まず前提として、AIは「悪」でも「万能」でもありません。「使うか、使わないか」を議論している段階はすでに終わっていて、いま問われているのは「どこに使うか」という設計です。これは現場の作業判断ではなく、経営判断だとお伝えしました。
では、どう見極めるのか。3つの軸でご説明します。
3-1. 軸①:その内容は「事実」か「体験」か
結論:検証できる「事実」はAIに任せ、「体験」は自分で語る。
事実とは、誰が言っても変わらない知識のことです。公的な市場データ、業界の最新トレンド、ITツールの操作方法、他社製品とのスペック比較。これらはAIとの相性が非常に良い領域です。
一方、体験とは、あなたが体験したからこそ語れる物語です。自社サービスを導入したクライアントのリアルな成功事例。製品誕生の裏側にある開発チームの苦労。現場でスタッフがお客様と交わした生の会話。経営者であるあなたが、リソース不足に悩んだ夜の話。
判断基準はシンプルです。「ググれば出てくる一般論」はAIに任せ、「自社の中にしかない一次情報」は人間が語る。検証可能な情報ほどAIで効率化でき、検証できない感覚は人間にしか伝えられません。
3-2. 軸②:お客様は「機能・価格」で選ぶか「意味・信頼」で選ぶか
結論:何で選ばれているかが決まれば、AIに任せてよい範囲も決まる。
機能・価格で選ばれる商材は、スペックや納期で比較されます。定型のシステム、汎用的なテンプレート、成分や容量で選ばれる商品などです。
意味・信頼で選ばれる商材は、その会社だからという理由で選ばれます。自社の哲学が反映されたブランド製品、作り手のこだわりが伝わる商品、伴走型のコンサルや士業。
当日は、参加者の皆さまにこう問いかけました。
もし同じような商品・サービスがあったとき、お客様が御社を選ぶ理由は「機能・価格」が何割、「意味・信頼」が何割でしょうか。
ここで多くの方が手を止められます。少数精鋭の企業や一人起業家の場合、たいていは「ハイブリッド型」——つまり中間に位置します。
そして法人の場合に大切なのは、会社全体をひとつの型に決めつけないことです。商品・サービスごとに、機能で選ばれる部分と信頼で選ばれる部分を分けて考えてください。
3-3. 軸③:その発信は「核心」か「周辺」か
結論:核心は人間、周辺はAIで。
これが、私が最もお伝えしたい考え方です。
核心とは、お客様が「確かめたい」と思っている中核の部分。あなた自身の人柄や想い、実際のお客様の変化と反応、実績、体験談、商品を使ったリアルな結果です。ここをAIで作ると、嘘っぽさが出て信用を落とします。
周辺とは、理解を助ける周りの情報。業界の基礎知識、用語解説、歴史、背景、比較、データ、世界の事例。ここはAIで量産して問題ありません。むしろ、わかりやすさが武器になります。
そして両者をつなぐ中間(ブリッジ)があります。自社のメソッドを説明するとき、思想は核心、用語や手順は周辺、というイメージです。
判定に迷ったときは、この1問だけ自分に投げてください。
「これは、お客様が”リアルに確かめたい部分”か?」
YESなら核心(人間が発信)、NOなら周辺(AI活用OK)。お客様が確かめたい部分をAIで作ってしまうと、違和感が生まれます。
4. 業種別|核心と周辺の使い分け早見表
抽象論で終わらせないために、当日は業種別の早見表もお配りしました。
補足として、マーケティングでよく言われる「お客様の声を集めましょう」も、この軸で整理できます。声はAIで整理する。本音は人が受け取る。大量の声を整理し、共通点や違和感を見つけ、深掘り質問を作るのはAIの得意分野です。しかし、その違和感の意味を考え、売れる切り口を判断し、自社の価値とつなげるのは人の仕事です。
AIは、お客様を「わかってくれる」道具ではありません。あなたが「よく見える」ようにするための道具です。
5. 明日から実践できるSNS×AI活用法【3つのレベル】
考え方が定まったら、次は実践です。AIの使い方を、点 → 線 → 仕組みの3段階でご紹介しました。
5-1. Level1:AIを「壁打ち相手」として使う
AIが”作業”する段階。投稿1本ずつを作らせるのではなく、まず自分では気づけなかった勝ちパターンをAIに言語化させます。
たとえば、保存数が多かった投稿5本と少なかった投稿5本をAIに渡し、「この2グループを比較して、構文や文字数の差、冒頭1行目の型の違い、使われている感情ワードを抽出してください」と依頼する。これだけで、社内で言語化できていなかった勝ち筋が見えてきます。
もっと軽く始めたい方には、当日のワークをそのままお勧めします。
私は「○○(あなたの仕事・商品)」をしています。なぜこの仕事を始めたのか、その想いを言葉にしたいので、私に5つの質問を1問ずつしてください。
自分が「素材」になる、いちばん軽い壁打ちです。うまく答えられなかった質問こそ、あなたの伸びしろです。
5-2. Level2:AIを「お客様の代弁者」として使う
AIが”代弁”する段階。お客様が言語化していないニーズを、先回りして言葉にします。
具体的には、商品・サービスの概要をAIに渡したうえで、こう聞きます。
興味があっても「買わない」お客様の心の中にある理由を30〜50個挙げてください。特に「本人も気づいていないが、購入を止めている深層の理由」を重点的にお願いします。その中から3つの本質的な理由を抽出してください。
さらに、投稿の下書きとペルソナ設定を渡し、「お客様の立場で読んで、”?”が浮かんだ箇所、”売り込みっぽい”と感じた箇所、”自分には関係ない”と感じた箇所を厳しく指摘してください」と依頼する使い方も効果的です。
5-3. Level3:AIを「専属マーケター」として育てる
AIが”思考”する段階。戦略の参謀として育てます。
かつて広告代理店に月20〜30万円で依頼していた「専属マーケター」の仕事が、2026年は社内で内製できる時代になりました。
その中核になるのが、GoogleのNotebookLMです。自社の資料を読み込ませて「ビジネスブック」を作ると、過去のセミナー資料もお客様の声もヒット投稿も、すべて検索可能な状態になります。入れるべき素材は5つです。
- 自社の商品・サービス紹介:LP、メニュー、料金表
- ブランドの世界観:コンセプト文、目指す方向性
- お客様の声:感想メール、アンケート、レビュー
- 過去のヒット投稿:反応が良かった上位3〜5本のキャプション
- 理想のお客様像:年齢、悩み、買う理由、買わない理由
これを作っておくと、毎月のInstagramインサイトを渡して「今月のインサイトを見て、アカウントに起きている変化と、次の1ヶ月で試すべきことを3つ提案してください」と聞くだけで、自社の文脈で数字を翻訳してくれるようになります。
育てる期間の目安は3ヶ月です。1ヶ月目は現状把握、2ヶ月目で先月比の変化をAIが指摘し始め、3ヶ月目には「次の3ヶ月はこの層を狙いましょう」という提案が、あなたの言葉で返ってくるようになります。
なお、さらに先に進みたい方向けにClaude SkillsとClaude Cowork(β版)もご紹介しました。覚え方としては、Skillsは「教える」、Coworkは「任せる」。文体や判断基準を覚えさせたいならSkills、資料整理から成果物づくりまで工程を進めてほしいならCoworkです。ただし、ここまで来なくてもNotebookLMだけで「専属マーケター」は十分に手に入ります。
6. 2026年のInstagramは「Your Algorithm」の時代へ
もうひとつ、経営者の方にお伝えしておきたい環境変化があります。
Instagramは、ユーザー自身が「もっと見たい/減らしたい」トピックを指定できる仕組みを導入しました。この仕組みはリールから始まり、2026年にはフィード・発見タブまでInstagram全体に広がっています(出典:Instagram公式ブログ「Reels Algorithm Control」)。
つまりInstagramは「届ける場」から「世界観で選ばれる場」へ変わりました。
背景には3つの要因があると考えています。情報過多による「おすすめ疲れ」、AI生成コンテンツの増加による本物志向、そして「与えられる」より「自分で選ぶ」を求めるZ世代以降の価値観です。
これが意味するのは、経営者にとっての完全な転換です。
- 「バズ」より「深いつながり」が効く
- 「量産」より「本物」が勝つ
- 「アルゴリズム攻略」より「人の心」が届く
広告費で押し切る発想は通用しなくなり、価値観でつながる関係性を資産として積み上げられるかどうかに、競争優位の源泉が移りました。小さな会社にとっては、まさに逆転のチャンスです。
7. SNS×AI活用でよくある3つの失敗
当日、各レベルごとにお伝えした注意点を整理します。
失敗1:AIに全部書かせて、そのまま投稿する
文章は整いますが、体温が消えます。AIの答えはあくまで「素材」として使い、最後は必ず自分の言葉で仕上げてください。
失敗2:「買わない理由」を全部潰そうとする
30〜50個出した理由をすべて投稿で解消しようとすると、売り込みっぽくなって逆効果です。指摘の中から1つだけ選んで修正する。投稿ごとに1つの違和感を潰す、が正解です。
失敗3:ビジネスブックを1回作って、それきりにする
ビジネスは生きものです。AIも育て続ける必要があります。完璧を目指さず、月1回の更新で少しずつ賢くしていってください。
なお、AIの戦略提案を鵜呑みにするのも避けたいところです。返ってくるのはあくまで仮説。あなたの感覚と合わせて検証してください。
8. よくある質問(FAQ)
AIで投稿を作ると、信用を落としますか?
使う場所によります。お客様が「リアルに確かめたい部分」(人柄、実績、お客様の変化、体験談)をAIで作ると違和感が生まれ、信用を損ないます。一方、業界の基礎知識・用語解説・データ整理などの周辺情報は、AIで量産しても信用は落ちません。むしろわかりやすさが武器になります。
AIツールは何から始めればよいですか?
まずは普段お使いのAI(ChatGPT・Gemini・Claudeなど)で「壁打ち」から始めることをお勧めします。仕組み化まで進みたい場合は、GoogleのNotebookLM(無料)に自社資料を読み込ませる方法が最も費用対効果が高いです。
小さな会社でも、SNSで大手に勝てますか?
「文脈」で勝負すれば可能です。誰が、どんな想いで、誰のために発信しているのか——これは資本力では買えません。2026年のSNSは、その文脈が最も評価される設計に変わっています。
同じ内容の研修を、自社や当団体でも依頼できますか?
可能です。業種・対象者・時間に合わせて内容をカスタマイズしています。今回は90分でしたが、60分の講演形式から半日・複数回のシリーズ研修まで対応しています。
参加者のレベルがバラバラでも大丈夫ですか?
問題ありません。今回も「SNSをこれから始める方」から「すでに運用中の方」まで幅広くご参加いただきました。AI活用をLevel1〜3の段階に分けて設計しているため、それぞれの現在地に合わせて持ち帰っていただけます。
9. まとめ|核心は人間、周辺はAIで
セミナーの最後に、正直な話をひとつしました。
私はInstagram集客の講師を全国で行っていますが、実は「Instagramがあまり好きではない」と感じる瞬間があります。棘や毒で注目を集めるリール。過剰に隙を作って親近感を演出する投稿。泣きながら撮影される動画。それらが「バズる正解」とされている空気に、強い違和感を持っているからです。
SNSの風潮に流される必要も、無理に隙を作る必要も、棘のある言葉を使う必要もありません。
経営者として、ブランドとして一番大切なのは、SNSの世界でも通用するコミュニケーションを設計すること。そして、その品質を保つ仕組みを、AIと一緒に育てることです。
10,000フォロワーを目指す必要はありません。500フォロワーを1,000フォロワーへ。その一人ひとりが御社のブランドを信頼し、選び続けてくださる関係を、仕組みとして構築する。
それが、人・物・金がなくても勝つ、SNS×AI時代の本質です。
核心は人間、周辺はAIで。この一言だけでも、持ち帰っていただけたら嬉しく思います。
上村菜穂(うえむら なほ)/株式会社PR NET 代表取締役
神奈川県横浜市出身。広告費をコストカットして理想のお客様が集まるSNSづくりをコンセプトに、SNS×AI×Webマーケティングで中小企業の支援を行う。14歳でメールマガジン20,000人の読者を8ヶ月間で集める(当時、歴代最年少記録)。2015年に学生から個人事業主として独立。
研修・講演・登壇は延べ14,800名以上。ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所などで研修を実施。メディア掲載:Yahoo!ニュース、日刊ゲンダイ、秋田魁新報社など。
株式会社PR NETでは、企業・自治体・商工会議所様向けに、SNS×AI活用の研修・講演を承っております。業種・対象者・時間に合わせて内容をカスタマイズいたします。60分の講演形式から、半日・複数回のシリーズ研修まで対応可能です。