
【お申し込み816名様】SNS文章術セミナー実施レポート|選ばれる文章の3原則
最終更新日:2026年7月29日
Startup Hub Tokyo様主催 SNS文章術セミナー実施レポート|Instagramで「選ばれる文章」の3原則
執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
Instagramが写真と動画の場であることは事実ですが、ビジネスで成果を出す段階では「文章で人の心を動かせるか」が結果を分けます。情報が過剰にある今、選ばれる基準は機能や価格ではなく「感情が動くかどうか」に移っているためです。
本記事は、2024年5月28日にStartup Hub Tokyo様主催で実施したオンラインセミナーの実施報告と、その中でお伝えした文章術のノウハウをまとめたものです。写真は用意できるのに投稿が結果につながらない創業期の事業者と、SNS研修の内容設計に悩む主催者の方に向けて、現場でそのまま使える形で解説します。
- 情報過多の時代に選ばれる基準「感情的価値」の5要素
- 文章が伝わらない人に共通する3つのつまずきと、その直し方
- ターゲットとペルソナの違い、ペルソナを決める4つの基準
- クリックされるキャッチコピー4分類・列挙型・PREP法という具体的な型
- 公的創業支援機関でのSNS研修が、どこまで踏み込んだ内容で構成されているか
1. 写真の時代のInstagramで、なぜ「文章」が結果を分けるのか
結論から述べます。Instagramが写真と動画のプラットフォームであることは事実ですが、ビジネスで成果を出す段階では、文章で人の心を動かせるかどうかが結果を分けます。どれほど美しい写真を撮っても、そこに言葉が伴わなければ、閲覧数は伸びても購入や問い合わせには届きません。
もう一つ重要なのは、トレンドが変わっても「届ける相手を決めること」と「相手に届く伝え方」の2つは変わらない、という点です。アルゴリズムの仕様は毎年のように更新されますが、この2つを押さえた発信は、更新のたびに作り直す必要がありません。研修や講演でこのテーマを扱う際、再現性のある本質から入るようにしているのはそのためです。
2. セミナー実施概要|Startup Hub Tokyo様主催・2024年5月28日開催
Startup Hub Tokyo様は、東京都が設置する創業支援施設です。参加されるのは、これから事業を始める方や立ち上げ間もない事業者が中心で、「広告費をかけずに、価値観の合うお客様と出会いたい」というニーズが非常に強い層でした。そのため本セミナーでは、テクニックの前に「誰に、どんな立場から伝えるのか」の設計に時間を割く構成としています。
※以下の内容は2024年5月の登壇時点でお伝えしたものです。プラットフォームの仕様に関する記述は当時のものとしてお読みください。文章設計の考え方そのものは、現在も変わらず有効です。
3. 原則1|選ばれる基準は「感情的価値」に移っている
この章の結論:情報が過剰にある今、ユーザーが選ぶ基準は「機能や価格」ではなく「感情が動くかどうか」に移っています。
現代人が1日に触れる情報量は、平安時代の一生分、江戸時代の1年分に相当するといわれます。インターネット上でやりとりされる情報量も、1995年から2022年までの27年間で桁違いに増えました。ここまで情報が増えると、人は「比較して最適を選ぶ」ことをやめ、信頼できる誰かが良いと言っていたものを選ぶようになります。
3-1. 感情的価値を構成する5つの要素
セミナーでは、感情的価値を次の5つに分解してお伝えしました。
- 共感:この人(会社)の価値観がわかる
- 信頼:この人が言うなら間違いない
- 個別最適化:自分に向けて語られている感じがする
- 繋がり:一度きりではなく関係が続く
- 体験:記憶に残る時間そのものが価値になる
投稿を書く前に「この投稿はどの要素を届けるものか」を1つ決めておくだけで、文章の焦点は大きく変わります。5つ全部を1投稿に詰め込む必要はありません。
3-2. 情報が「有難いもの」から「多すぎて選べないもの」へ
かつて情報は貴重で、持っているだけで価値がありました。今は逆です。お役立ち情報はすでに飽和しているため、「この人の◯◯に共感する/憧れる」と思ってもらう発信でなければ、そもそも記憶に残りません。ノウハウ投稿を増やしても反応が伸びない事業者の多くは、ここでつまずいています。
4. 原則2|文章が伝わらない人に共通する3つのつまずき
この章の結論:「文章の才能がない」のではなく、書き方の手順を知らないだけです。
陸上の棒高跳びができないからといって「才能がない」とは言いません。やり方を習っていないだけです。文章もまったく同じで、現場で見てきた限り、つまずき方には共通のパターンがあります。
4-1. 「なぜ」が書かれていない
「楽しかった!」「これ感動!」「おすすめです!」——こうした投稿は非常に多いのですが、読み手は「なぜそう思ったのか」についていけません。
5W1Hに当てはめると理由がはっきりします。いつ(先週)、どこで(中目黒のカフェ)、誰が(友人と)、何を(女子会を)、どのように(話していた)——ここまでは書けているのに、Whyだけが抜け落ちている投稿がほとんどです。読者が文章に入り込めるかどうかは、このWhyの有無で決まります。
現場での実践:投稿を書き終えたら「なぜ?」と自分に1回だけ問い、その答えを1文足してください。それだけで文章の密度が変わります。
4-2. 考えている時間が短い
書くことは、考えることです。ベストセラーの著者でさえ時間をかけて考えているのですから、思いついた言葉がそのまま完成形になるはずがありません。「文章が苦手」と感じている段階の方こそ、投稿ボタンを押す前に、伝えたいことを考える時間を確保する必要があります。
4-3. 論理と感情のバランスが崩れている
- ロジカルすぎる文章:専門用語と成分説明が続き、論文を読んでいるような気持ちにさせてしまう
- 感情的すぎる文章:「すごくよかった!行かなきゃ損!」——プライベート投稿ならよいが、購入判断に必要な安心感が得られない
セミナーでは、同じ「ヒト幹細胞エキスを使うサロンの紹介」という題材を、極端にロジカルな文章と極端に感情的な文章の両方で提示し、読み比べていただきました。どちらも読み手には届きません。根拠で安心させ、感情で動かす。この両輪が必要です。
5. 原則3|書き始める前に決める「ペルソナ」と「コンセプト」
この章の結論:文章のうまさよりも、「誰に・どんな立場から伝えるか」が決まっているかどうかが結果を左右します。
5-1. ターゲットとペルソナは別物
「20代女性」と言っても、21歳の女子大生と29歳の中堅社会人では生活も悩みも違います。独身も既婚者も子育て中の方もいます。年収200万円の方と800万円の方では、価格の受け止め方が根本から異なります。この幅のまま書くから、誰にも刺さらない文章になるのです。
5-2. ペルソナを決める4つの基準
- 商品・サービスを心から喜んでくれて、クレームが一切ない人か
- こちらが無理に勧めなくても、自ら別の商品・サービスを購入してくれる人か
- その人が200人集まったときに、自分がワクワクするか。幸せだと思えるか
- 大切にしている価値観に共感があるか
3番目は特に反応の大きかった項目です。売上の観点だけでペルソナを決めると、集まった後に苦しくなります。自分が長く関わり続けたい相手かどうかを基準に含めることをおすすめしています。
5-3. 理念とコンセプトの関係を整理する
- 理念:大切にしている価値観や想い、目指すゴール(抽象的)
- コンセプト:全体を通して一貫した価値とこだわり。理念に基づきつつ、具体的に提供でき、同業との違いが伝わるもの(具体的)
たとえば「PRでひと・もの・ことに彩りを」は理念の言葉で、そのままでは何を提供する人なのか伝わりません。一方「広告費をコストカットして理想のお客様が集まるSNSにします」は、誰に何を提供するかが具体的に伝わります。プロフィール欄に置くべきは後者です。
コンセプトを考えるヒントは、「自社が提供する価値」「ペルソナが求めているもの」「競合が提供する価値」の3つを重ね、自社だけが提供できる部分を言語化することです。
6. 実践編|今日から使える文章の型と整え方
この章の結論:型を使えば、文章が苦手でも「読まれる状態」までは確実に持っていけます。
6-1. クリックされるキャッチコピー4分類
投稿1枚目の文字入れ、ブログのタイトル、メールの件名——いずれも共通で使える4分類です。
- 数字で示す:「3つの◯◯」「8割以上が当てはまる」「99%の人が知らない」「500人を指導した◯◯が伝授」
- 法則を伝える:「◯◯術」「攻略法」「5つのステップ」「◯◯選」
- 簡便性:「初心者でも安心」「たったの3ステップ」「◯◯不要」「◯◯しながら△△できる」
- 希少性:「期間限定」「1日1組」「◯◯の人限定」「世界に1つだけの」
現場での実践:自分の投稿タイトルを10本並べ、4分類のどれに当てはまるかを確認してください。どれにも当てはまらないものが半分以上なら、そこが伸びない原因です。
6-2. 列挙型とPREP法
- 列挙型:全体像 → 列挙1(最もインパクトの強いもの)→ 列挙2 → 列挙3 → まとめ
- PREP法:結論 → 理由 → 具体例 → 結論
Instagramのキャプションは列挙型と相性がよく、「3つのポイント」形式にすると最後まで読まれやすくなります。一方、商品やサービスの説得力を高めたい場面ではPREP法が有効です。具体例の部分に実際の事例を置けるかどうかで、文章の強度が変わります。
6-3. 読みやすさは「音読」と「一文60文字」で決まる
- 投稿前に必ず一度、声に出して読む。リズムの悪さは音読でしか気づけない
- 文末が「です」「です」「です」と続いていないか確認する
- 一文は60文字以内を目安に。一般的な文章術では80文字といわれるが、スマートフォンで読むSNSでは長すぎる
- 左寄せに整える。空行・改行の調整には『改行くん』などのアプリが便利
同じ内容でも、改行が整っている投稿と詰まっている投稿では、読了率がはっきり変わります。
7. 会場で最も質問が集まったテーマ|「今から始めるのは遅いのか」
事前質問の中で最も多かったのが、「これからアカウントを作るのは遅いですよね?」というものでした。
回答は明確です。遅くありません。むしろチャンスの時代です。
2022年4月にはアカウント単位のエンゲージメント、2024年4月には投稿単位のエンゲージメントが重視される方向へと最適化が進み、フォロワー数の多さだけで有利になる構造ではなくなりました。フォロワー数が少ないアカウントでも、投稿の内容が評価されればおすすめとして表示される機会があります。
同時に、他人のコンテンツを無断で再投稿し続けるアカウントは推奨対象から外れる方針も示されました。自分で撮影・作成したオリジナルの発信をしている事業者にとって、追い風の環境だといえます。創業前・創業直後の方にとって、この構造変化は最も伝えたかった事実でした。「フォロワーが少ないから発信しても意味がない」という思い込みが、実は最大の機会損失になっています。
8. よくある失敗と注意点
- フォロワー数を目的にしてしまう:目指すべきは集客・売上であり、フォロワー数はその手段。優先順位を取り違えると、ジャンルを広げすぎて誰にも刺さらないアカウントになる
- 良質なコンテンツならリポストしてよいと考える:PRの有無にかかわらず推奨されていない。お客様が投稿してくれた商品写真であっても、自社で撮影・作成した素材を軸にする方が安全
- ハッシュタグを広く付ける:件数の多いタグではなく、専門性を高めて絞る方が届く
- プロフィールが抽象的なまま:投稿が良くても、理念の言葉で止まっているとフォローにも問い合わせにもつながらない
- 感情だけ、論理だけで書き切る:どちらかに極端に振れた文章は、購入判断に必要な安心感を欠く
9. よくある質問(FAQ)
写真や動画がうまく撮れなくても、文章だけで成果は出ますか?
文章だけで完結するわけではありませんが、優先順位としては文章が先です。写真の質が高くても、なぜ良いのかが言語化されていない投稿は購入や問い合わせにつながりません。まず文章の設計を整え、その後に撮影の質を上げる順序をおすすめしています。
ペルソナを1人に絞ると、お客様が減りませんか?
実際は逆です。「20代女性」のような幅のある設定のまま書くと、誰の心にも届かない文章になります。1人に向けて具体的に書いた文章の方が、結果として似た価値観の方に広く届きます。
投稿を書く時間がとれません。何から手をつければいいですか?
まずプロフィール文とハイライトの整備からです。投稿は流れていきますが、プロフィールは訪問者全員が見ます。ここが抽象的なままだと、投稿を増やしても取りこぼしが続きます。
この研修は他の業界・他の対象者にも実施できますか?
可能です。株式会社PR NETでは、創業支援機関のほか、商工会議所、企業、自治体などで業種・対象者に合わせて内容をカスタマイズして実施しています。小売・店舗、医療、製造、士業など、対象者ごとに事例と演習を差し替える形で設計します。
研修時間や人数の目安はありますか?
本セミナーは70分・オンライン形式でしたが、60分の講演型から半日・1日のワークショップ型まで対応しています。参加者が自社の言葉で書く演習を入れる場合は、90分以上を確保いただくと定着が高まります。
オンラインでも対面と同じ効果がありますか?
テーマによります。本セミナーのような講義中心の内容はオンラインでも十分に成立し、録画配信を併用することで参加できなかった方にも届きます。一方、演習と相互フィードバックを重視する場合は対面が有効です。
10. まとめ
- Instagramは投稿単位で評価される仕組みへ変化し、後発でも十分に機会がある(2024年5月時点)
- 情報過多の時代に選ばれる基準は感情的価値(共感・信頼・個別最適化・繋がり・体験)
- 文章が伝わらない原因は才能ではなく、Whyの欠落・思考時間の不足・論理と感情の偏りの3つ
- 書き始める前に、ペルソナ(具体的な1名)とコンセプト(自社だけが提供できる価値)を決める
- キャッチコピー4分類・列挙型・PREP法・一文60文字といった型で、読まれる状態まで確実に持っていける
SNSは、広告費をかけずに価値観の合うお客様と出会うための手段です。個人で広告を出せば月10万円(年間120万円)規模の費用がかかるところを、時間と設計で置き換えるという考え方になります。時間はかかりますが、その分だけ一度きりではない長期的な関係が残ります。
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)
株式会社PR NET 代表取締役。SNS×AI領域に特化した研修・セミナー・コンサルティングを提供。ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など、大手企業から公的機関まで延べ15,000名以上にSNSとAI活用の研修を実施。「SNSは24時間365日働く営業マン」という思想のもと、広告費に頼らないSNS集客の体系化を専門とする。
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