LLMO対策で実際に見つかった5つの誤り|自社サイト点検の記録
📘 この記事の位置づけ
この記事は「自社サイトのLLMO対策で実際に何が見つかったか」の実録です。手順の解説ではなく、当社が自社2サイトを点検して発見した誤りと、その判断の記録をそのまま公開しています。2026年9月に、公開後の2か月で見つかったことを「続報」として追記しました。
📎 AI導入の全体像は → 中小企業のAI導入は「見つけられ方」から始める
📎 自分で点検する手順は → LLMO対策のやり方6手順
最終更新日:2026年9月21日
執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
LLMO対策の点検とは、自社サイトの情報がAIに正しく読み取られる状態かを、表示画面ではなくコードと出典の層で確認する作業です。当社が自社2サイトで実施したところ、ブラウザで見ている限り気づけない誤りが5種類見つかりました。
さらに公開後の2か月で、構造化データの重複、見出しの二重、旧表記の取り残しなど、最初の点検では見えていなかった種類の誤りが見つかりました。点検は一度で終わる作業ではありません。
効果がどれだけ出たかは書いていません。書けないからです。その理由も含めて公開します。
- 画面の目視では発見できない、サイトの誤りが起きる場所
- 出典のたどれない統計が、自社サイトに入り込む経路
- 一括置換していい情報と、手作業でなければ直せない情報の違い
- 公開後の2か月で追加で見つかった5つのこと(2026年9月追記)
- 効果を数値で断言できない理由と、いま分かっていない問題
1. 結論:目視で確認しても、サイトの誤りは見つからない
自社サイトを開いて、上から下まで読んでみてください。誤字はないし、数字も合っている。問題ないように見えます。
そこに書かれていない情報が、AIには渡っています。
当社が自社2サイトを点検したところ、5種類の誤りが見つかりました。そのうち3つは、画面をどれだけ丁寧に見ても発見できない場所にありました。
2. この記事の前提
- 対象:当社が運営する2サイト
- 実施時期:2026年7月(続報は2026年8〜9月)
- 作業者:代表の上村本人。エンジニアではありません
- 環境:WordPress/レンタルサーバー
専門知識がある人がやった話ではない、という点だけ先にお伝えしておきます。
3. 誤り1:登壇歴が「学歴」として読み取れる書き方になっていた
当社は代表の登壇実績を掲載しています。その中に、東京大学での登壇があります。2016年の五月祭に、女性で唯一のパネラーとして呼ばれたものです。
問題は、この情報をサイトの裏側に埋め込む「構造化データ」という記述の中にありました。登壇した大学が、出身校として読み取られる書き方になっていたのです。
画面には一切表示されません。ブラウザで見ている限り、永遠に気づけません。しかし検索エンジンとAIは、この裏側の記述を読みます。つまり当社が意図していない経歴が、機械に対してだけ伝わっていたことになります。
見つけた方法は単純です。ページのソースコードを表示して、上から読みました。それだけです。
あわせて、本文の実績一覧も見直しました。「東京大学、楽天大学、…」と社名だけを並べると、読み手によっては学歴や勤務先に見えます。現在は一覧の前に必ず「これまでの登壇・研修先は」と添える書き方に統一しています。
4. 誤り2:使っていた統計5つが、匿名記事にしか遡れなかった
ある記事で、研修効果に関する数値を5つ使っていました。時間削減率、品質向上を実感した受講者の割合などです。
出典をたどったところ、どれも匿名の記事に行き着いて、そこで止まりました。元になった調査そのものが見つからなかったのです。
このジャンルでは、こうした数字が驚くほど自然に流通しています。もっともらしく、桁にも違和感がなく、多くの記事が引用しています。しかし遡ると、誰も一次資料に触れていません。
当社は5つすべてを削除しました。公的機関の発表に差し替えられるものだけを残し、残りは数字を使わずに書き直しています。出典のたどれない数字は、引用するつもりで誤情報の中継地点になります。
5. 誤り3:古い数字が4種類、200件以上同時に生きていた
登壇者数の累計を、当社はサイト各所に書いています。この数字は登壇のたびに増えるため、定期的な更新が必要です。
点検したところ、4種類の古い数字が同時に生きていました。更新のたびに全ページを直しきれず、直した箇所と直していない箇所が層になって積み重なっていたのです。判明しただけで200件を超えました。
同じサイトの中で数字が食い違っていれば、AIから見て信頼できる情報源にはなりません。どれが本当か判断できないからです。
その後、当社は2つの運用を決めました。1つは、実績の数字を1つのファイルにまとめ、すべてのページはそこを見て書くこと。もう1つは、累計人数の表記を1,000名単位で更新することです。細かく更新するほど、直しきれないページが増えるからです。
6. 誤り4:社名の書き方が実態とズレていた
実績として記載していた企業名のうち1社が、グループ会社全体の名称になっていました。実際に研修を行ったのは、そのグループ内の教育部門です。
嘘ではありません。ただ、読む側は「グループ本体への研修」と受け取ります。事実の解像度が落ちると、伝わる内容そのものが変わってしまいます。該当箇所を、教育部門の名称とグループ名を併記する表記に直しました。
7. 誤り5:注意書きが表示されない場所に、断定表現だけが残っていた
助成金について説明したページがありました。本文には条件や注意事項を丁寧に書いていましたが、メタディスクリプションとFAQの構造化データの中に、断定的な表現だけが残っていました。
この2箇所は、検索結果やAIの回答の中で単独で切り出されて表示される場所です。注意書きは一緒に運ばれません。断定表現だけが独り歩きします。
当社は方針を変えました。断定的な金額表現は使わず、助成率と上限額の考え方だけを示して、実額は個別の試算と専門家への相談に委ねる。助成金は審査制であり、支給が確約されるものではないからです。
この誤りが5つの中で最も注意が必要だと考えています。「本文に書いてあるから大丈夫」は、切り出される場所では通用しません。そして切り出される場所は、これから増えていきます。
8. 作業の順番と、判断の分かれ目
8-1. バックアップを最初に取る
一括置換の前に、必ずバックアップを取ってください。置換は取り消せません。当社はバックアップ用のプラグインで作業前の状態を保存してから実行しました。
8-2. 一括置換していいもの・してはいけないもの
数字と社名は一括置換で処理しました。一方、2つの語は手作業に切り替えています。判断の基準は次の2点です。
- すでに正しく直っている箇所があり、置換すると二重になる語
- 文字を入れ替えるだけでは足りず、文章ごと書き直す必要がある語
後者の例を挙げます。「5年連続で登壇」という記述がありました。事実ですが、これは特定の商工会議所での話です。文中の位置によっては、全国の商工会議所で5年連続という意味に読めてしまいます。これは置換では直りません。文章を書き直す必要があります。現在は、連続年数には必ず団体名を添えています。
8-3. 置換の結果は「旧表記が0件になったか」で確かめる
置換を実行したあと、新しい表記が何件あるかを数えても、確認にはなりません。もともと正しかった箇所も数に入るからです。当社は、検索しても古い表記が0件になったかで判定しています。
なお、置換ツールが表示する件数は「その文字を含む記録の数」で、同じページ内に何回出てきても1件と数えられることがあります。過去の版(リビジョン)も数に入るため、公開中のページの数とは一致しません。件数が合わないときは、公開中のページを開いて確かめてください。
9. 続報:公開後の2か月で見つかった5つのこと(2026年9月追記)
7月の点検で終わりではありませんでした。2026年9月3日、公開中の78ページを1ページずつ開いて、見出し・構造化データ・表記など19項目を一覧にしました。巡回そのものはブラウザを操作するAIアシスタントに任せ、どこを直すかの判断は人が行っています。
その結果、7月には見えていなかった種類の誤りが、いくつも見つかりました。
9-1. 構造化データの「記事」の型が二重になっていた
WordPressのSEOプラグインは、記事ページに構造化データを自動で出力します。当社は記事ごとにも手で構造化データを書いていたため、1ページの中に「記事」を表す型が2つ並んでいるページが23ありました。
どちらも中身は正しく、画面にも何も出ません。ただ、機械から見ると同じページに自己紹介が2枚ある状態です。現在は、記事の型はプラグインに任せ、手で書くのはFAQなどプラグインが出さないものだけにしています。この記事も、今回の更新で手書きの記事の型を外しました。
9-2. 大見出しが二重、FAQの構造化データが抜けていた
WordPressは、記事のタイトルをページの大見出し(H1)として自動で表示します。本文の冒頭にも同じタイトルを大見出しで書いていたため、大見出しが2つあるページが12ありました。画面では、タイトルが2回出ているだけに見えます。
逆に、本文にFAQを載せているのに、FAQの構造化データを付けていないページが8ありました。重なりと抜けは、どちらも「機械向けの骨組み」の問題です。ページを直す番が来たものから順に是正しています。
9-3. サイト内の検索では見つからない場所に、旧表記が残っていた
記事のタイトルを変えたあとも、ほかの記事から張っているリンクの文言は旧タイトルのままでした。また、表記を統一したあと、WordPressの管理画面で検索して「0件」になったのに、検索結果に表示されるメタ説明には古い表記が残っていました。
原因は、WordPressの管理画面の検索が、SEOプラグインで設定したメタ説明を検索対象にしていないことでした。本文を直したページは、メタ説明を別に開いて確認する手順を加えています。
9-4. 重複に見えた記事が、実は連載だった
URLの末尾に「-2」が付いた記事があり、同じ内容の重複だと判断して、元の記事を非公開にしていました。ところが実際には、同じ日に続けて公開した連載の2本目と3本目でした。WordPressは、似たURLが衝突すると自動で番号を付けるためです。
気づいたあとは記事を公開に戻し、転送の設定も外しました。統合や非公開を決める前に、両方の記事を実際に読んで比べる。当たり前のことですが、URLの形だけで判断すると間違えます。
9-5. 社内メモの誤りが、サイトに複製されかけた
当社は作業のたびに引き継ぎメモを残しています。その中に、2つの別々の事実を1行に混ぜた記述が紛れ込み、それを前提にページを直しかけたことがありました。
サイトの誤りは、サイトの外で生まれることがあります。現在は、実績や表記は「唯一の正」として決めた1つのファイルと照合してから書き、メモと食い違ったらファイルの側を正とする運用にしています。
💡 続報からわかったこと
7月の5つは「中身の誤り」でした。9月に見つかったものの多くは「骨組みの誤り」と「運用の誤り」です。
記事を足す、タイトルを変える、表記をそろえる。サイトを育てる作業そのものが、新しいずれを生みます。点検は、一度やれば終わる作業ではありませんでした。
10. それで効果は出たのか:断言できません
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
当社は、これらの作業による効果を数値で示すことができません。
AI検索での表示は、記事の内容、サイト全体の評価、質問の文面、モデルの更新など、複数の要因で動きます。作業と結果を1対1で結ぶ方法が、現時点では存在しません。
「対策後に問い合わせが◯%増えました」と書けば、この記事の説得力は上がるでしょう。しかし当社は、出典のたどれない数字を自社サイトから排除する作業をしたばかりです。その直後に、自分で検証できない数字を新しく作るわけにはいきません。
10-1. 9月、測る場所はできた
2026年、GoogleのSearch Consoleに、AIによる概要やAIモードでの表示回数を見られる「生成 AI」レポート(ベータ版)が加わりました。当社のサイトでも使えるようになり、2026年6月19日から9月18日までの3か月分を確認しました。
📊 当社サイトの計測結果(Search Console「生成 AI」・3か月)
AI機能での表示回数は合計で約1万9千回。そのうち約4分の3は、SNSの一般的なハウツー記事2本によるものでした。
研修・講師・LLMOなど本業に直結するページは、1ページあたり数十回以下。この記事を含むLLMO関連の4記事は、合わせて2回でした。
測れるようになっても、わかるのは「表示された回数」であって、どの作業が効いたかではありません。むしろ、本業のページがほとんど表示されていないという現実が見えました。この数字も含めて公開し、今後も同じ条件で記録を続けます。
同様の説明を見かけたら、その数値がどのように測られたのかを確認することをおすすめします。
11. いま分かっていない問題
正直に、未解決の問題も書いておきます。
当社のサイトは、robots.txtで主要なAIクローラーをすべて許可しています。サーバー側のAIクローラー遮断設定もオフです。セキュリティプラグインのブロック記録にも該当なし。2026年9月には、Search Consoleの「検索の生成 AI」設定が「含める」になっていることも確認しました。四層すべてを確認して、すべて白でした。
それでも、外部のAIツールから当社サイトを読み込もうとすると拒否される事象が、2026年7月に続けて起きました。当社側の設定には原因が見つからず、特定できていません。
つまり、設定を正しくしても、AIから読まれることは保証されないということです。この事実は、当社が効果を断言しない理由そのものでもあります。整えることには意味があります。ただ、整えれば必ず届くとは言えません。
よくある質問(FAQ)
構造化データの誤りは、どうやって見つければいいですか?
ページのソースコードを表示し、構造化データの記述部分を探して読みます。専門知識がなくても、書かれている内容が事実かどうかは判断できます。当社もその方法で発見しました。
出典のたどれない数字かどうかは、どう見分けますか?
引用元をたどり続けて、公的機関や調査会社の発表に行き着くかを確認します。個人ブログや記事で止まるものは使いません。調査名と発表年が明記できない数字は、使わないほうが安全です。
一括置換は危険ではないですか?
取り消せないため、バックアップは必須です。また、すでに正しい箇所が二重に変換されないか、実行前に該当件数を確認してください。文章の書き換えが必要な語は、置換の対象から外します。置換後は、旧表記が0件になったかで確認します。
これらの作業は外注すべきですか?
誤りを見つける作業は社内でもできます。書かれている内容が事実かどうかを判断できるのは、社内の人だけだからです。一方、サーバー設定やセキュリティ関連の変更は専門家に依頼することをおすすめします。当社もその方針です。
一度点検すれば、誤りはなくなりますか?
なくなりません。当社も最初の点検の2か月後に、構造化データの重複や見出しの二重など、新しい種類の誤りを見つけています。記事の追加やタイトルの変更のたびに、新しいずれが生まれるためです。
点検はどのくらいの頻度で行えばいいですか?
当社は、半年に1回の全体点検と、ページを直すたびにそのページを一通り確認する運用にしています。一度にすべてを直そうとせず、1ページ開いたら確認項目をすべて済ませて閉じる、という進め方が続けやすいです。
まとめ
7月の5つの誤りのうち3つは、画面を見ている限り発見できない場所にありました。構造化データの中、出典の連鎖の先、そして検索結果で単独に切り出される場所です。9月の続報では、構造化データの重複や大見出しの二重など、機械向けの骨組みのずれが加わりました。
共通していたのは、「人が見る場所」と「機械が読む場所」がずれていたことです。人に向けて整えたページでも、機械に渡っている情報は別物でした。そしてそのずれは、サイトを育てるたびに新しく生まれます。
この記録が、同じ点検をこれから始める企業のお役に立てば幸いです。自分で点検する手順は実務編に、用語の整理は用語整理の記事にまとめています。
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)
株式会社PR NET 代表取締役。SNS×AI領域に特化した研修・セミナー・コンサルティングを提供。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。大手企業から公的機関まで延べ15,000名以上にSNSとAI活用の研修を実施。「SNSは24時間365日働く営業マン」という思想のもと、広告費に頼らないSNS集客の体系化を専門とする。



