LLMO対策のやり方6手順|広報担当者が自分でできる範囲とできない範囲
📘 この記事の位置づけ
この記事は「広報担当者が自分の手でできる手順」をまとめた実務編です。専門知識がなくても進められる範囲に絞り、危険な作業とそうでない作業を分けて解説します。
📎 AI導入の全体像は → 中小企業のAI導入は「見つけられ方」から始める
📎 用語の違いは → LLMO・AIO・GEO・SEOの違い
📎 実際に何が見つかったかは → 自社サイトのLLMO対策で見つかった5つの誤り
最終更新日:2026年9月21日
執筆:上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役|大手企業・公的機関で延べ15,000名以上にSNS研修を実施)
💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
LLMO対策とは、自社サイトの情報がAI検索やAIアシスタントに正しく読まれ、引用されうる状態に整える作業です。広報担当者が自分で進められるのは、①AIを止めている設定がないかの確認、②機械に渡っている情報が事実かの確認、③会社の輪郭・出典・更新日を整えること、④AIでの表示を計測すること、の4つです。
サーバー設定とセキュリティ関連の変更は専門家に任せてください。また、llms.txtやAI向けの特別な書き方は、Googleが「Google検索では不要」と公式に説明しています。足す作業より、止めている設定と間違いを取り除く作業が先です。
効果は数値で断言しません。施策と結果を1対1で結ぶ測り方が、まだ存在しないからです。
- 自分でやっていい作業と、専門家に任せる作業の線引き(一覧表)
- 「AIの学習は断り、AI検索には出る」を両立するrobots.txtの読み方
- サーバーとSearch Consoleで、AIを止めている設定を見つける方法
- AI検索での表示回数を、Search ConsoleとBingで確認する方法
- llms.txtなど「やらなくていいこと・後回しでいいこと」
- 制作会社に依頼するときにそのまま使える伝え方
1. 結論:自分でできる範囲と、任せる範囲
6つの手順は、サイトに触れない「読む作業」と、サイトを変える「直す作業」に分かれます。先に全体の線引きを表で示します。
書かれている内容が事実かどうかを判断できるのは、社内の人だけです。手順3〜5はまさにその作業で、外注では代わりが利きません。一方、サーバーの設定変更・セキュリティプラグインの設定・robots.txtの書き換えは、影響範囲が大きいため専門家に任せてください。
2. 始める前の2つの約束
手順に入る前に、必ず守っていただきたいことが2つあります。
- 何かを変更する前に、必ずバックアップを取る。表示が消えるリスクは、AI対策の効果より重い損失です
- セキュリティ設定とサーバー設定は自己判断で触らない。当社もこの領域は専門家に依頼しています
手順1から3は「読むだけ・確認するだけ」なので、サイトに影響しません。まずここから始めてください。
3. 手順1:robots.txtを読む(所要5分・読むだけ)
ブラウザのアドレス欄に、自社サイトのURLに続けて /robots.txt と入力して開きます。テキストが表示されれば、それが現在の設定です。
3-1. AIのクローラーは「学習用」と「検索用」に分かれている
見るべきは、AI関連のクローラー名が Disallow で禁止されていないかどうかです。ここで知っておきたいのは、主要なAI事業者は、学習用と検索用のクローラーを別々に公開しているということです。
出典:OpenAI「Overview of OpenAI Crawlers」/Anthropic「Does Anthropic crawl data from the web…」/Google「Google の一般的なクローラ」(いずれも2026年9月確認)
つまり、「AIの学習には使われたくないが、AI検索には出たい」は両立できます。学習用だけを禁止し、検索用は許可すればよいのです。逆に、よかれと思ってAI系をまとめて禁止すると、AI検索からも姿を消します。
なお、GoogleのAIによる概要やAIモードは、通常の検索(Googlebot)と同じ仕組みでページを読みます。Google-Extendedを禁止しても、AIによる概要から外れるわけではありません。Google-Extendedは「Geminiの学習などに使ってよいか」を示す目印であり、専用のクローラーではありません。
3-2. 見落としやすい仕様:個別指定は全体向けのルールを引き継がない
クローラー名を個別に指定したグループは、全体向けの設定(User-agent: *)のルールを引き継ぎません。個別グループを追加したつもりが、全体向けに書いていた除外設定がそのクローラーには適用されなくなる、ということが起こります。当社のサイトでも、この仕様によってAI系クローラーには検索結果ページまで巡回対象になっていました。実害は小さいものの、書き換えは専門家に依頼する領域です。
4. 手順2:AIを止めている設定を確認する(所要10分・確認のみ)
ここが最大の落とし穴です。robots.txtで許可していても、別の場所で止めていれば、AIには届きません。robots.txtは「読んでいいですよ」というお願いにすぎず、サーバーが門前払いすればそこで終わりです。確認する場所は、サーバーとSearch Consoleの2つです。
4-1. サーバーの「AIクローラー遮断」機能
レンタルサーバーによっては、AIクローラーの遮断機能が管理画面に用意されています。エックスサーバーの場合、2026年1月7日からサーバーパネルに「AIクローラー遮断設定」が追加されました。公式マニュアルによると、初期状態はOFFで、設定はドメインごとです。
注意したいのは、遮断の対象です。同マニュアルの一覧には、学習用のGPTBotやClaudeBotだけでなく、検索用のOAI-SearchBotやClaude-SearchBot、利用者の操作によるChatGPT-UserやClaude-Userも含まれています。ONにすると、AIの学習だけでなくAI検索からも見えにくくなる可能性があります。
この機能自体は正しいものです。AIに情報を使われたくない企業にとっては必要な設定です。ただ、AIに見つけてもらいたいのであれば、この設定と目的が正面から矛盾します。セキュリティ強化の一環で誰かがONにしていないか、確認だけしてください。変更する場合は、サーバー管理の担当者か制作会社に依頼します。
4-2. Search Consoleの「検索の生成 AI」設定
2026年8月31日、GoogleはAIによる概要・AIモードにサイトを表示させるかどうかを選べる設定を、Search Consoleで全世界に提供しました。Search Consoleの左メニュー「設定」を開き、「AI controls」の中にある「検索の生成 AI」を確認します。
- 初期値は「含める」です。何もしていなければ、表示される設定になっています
- 「除外する」を選ぶと、AIによる概要・AIモード・Discoverの生成AI機能に表示されなくなります
- 通常の検索順位には影響しないとGoogleは説明しています
- ドメインのプロパティとURLのプロパティがある場合、下の階層は上の設定を引き継ぎます
出典:Search Console ヘルプ「検索の生成 AI 機能」の管理(2026年9月確認)
当社も2026年9月に確認し、ドメインのプロパティから「含める」を引き継いだ初期状態のままであることを確かめました。ここは見るだけにとどめ、変更する場合は社内で目的を確認してから行ってください。
5. 手順3:構造化データを読む(所要30分・読むだけ)
構造化データとは、ページの裏側に埋め込まれた、機械向けの自己紹介文です。会社名、著者名、経歴、FAQの内容などが書かれています。画面には表示されません。
先にお伝えしておくと、GoogleはAI検索の最適化ガイドで「生成AI検索のために構造化データが必須なわけではない」と説明しています。この手順の目的は、足すことではなく、間違いを見つけて消すことです。画面に出ない場所の誤りは、機械に対してだけ伝わり続けるからです。
確認手順は次のとおりです。
- 確認したいページをブラウザで開き、ページのソースを表示する(右クリックのメニューから選べます)
- ページ内検索で
ld+jsonと入力し、該当箇所を探す - 見つかったブロックの中身を、日本語として読む
プログラムの知識は要りません。特に注意して見ていただきたいのは、次の3つです。
- 経歴・所属・資格:当社は、登壇した大学が出身校として読み取られる書き方になっていた例を経験しました
- FAQの回答:本文では条件を添えているのに、構造化データ側では断定だけが残っていないか
- 日付と数字:更新日や実績の数字が、本文の最新の表記と一致しているか
詳細は点検の実録記事にまとめています。
6. 手順4:会社の輪郭をテキストで書く
ここから、直す作業に入ります。トップページを開いて、次の3点がテキストで書かれているか確認してください。画像やデザインの中にしかない場合、AIからは輪郭が見えません。
- 何をしている会社か:業種名だけでなく、提供している内容まで
- 誰の役に立つのか:対象となる企業規模・業種・立場
- どこにあるのか:所在地と、対応できる地域
1文で構いません。「当社は、◯◯に対して△△を提供する、□□にある会社です」という形が最も伝わります。装飾された見出し画像より、この1行のほうが、機械には伝わります。
あわせて、会社概要・サービス名・代表者名の表記が、サイト内のページごとに揺れていないかも見てください。同じ会社について別々の書き方があると、機械は同じものだと判断しにくくなります。
7. 手順5:出典と更新日を整える
記事内で使っている数字の出典を、1つずつたどってください。公的機関や調査会社の発表に行き着けば問題ありません。個人ブログや記事で止まるものは、削除するか、一次資料に差し替えます。
当社が自社サイトを点検した際は、使っていた統計5つすべてが匿名の記事にしか遡れず、全部を削除しました。出典のたどれない数字は、引用するつもりで誤情報の中継地点になります。
あわせて、公開日と更新日の両方を表示してください。この分野は変化が速く、いつ書かれた情報かが分からない記事は、引用される側から見て扱いにくいためです。更新日は、中身を直したときだけ更新します。日付だけ新しくする運用は避けてください。
8. 手順6:AIでの表示を計測する(所要10分・月1回)
2026年に入り、AI検索での表示を確認できる公式のレポートが2つ登場しました。どちらも読むだけの作業です。
出典:Search Console ヘルプ「生成 AI パフォーマンス レポート(検索)」/Bing Webmaster Blog(2026年2月10日)
Search Consoleでは、左メニューの「検索パフォーマンス」を開くと、その下に「生成 AI」が表示されます。表示がない場合は、まだ提供されていないか、AI機能での表示回数が少ないサイトです。
8-1. 当社が計測してわかったこと
当社も自社サイトで、2026年6月19日から9月18日までの3か月分を確認しました。
📊 当社サイトの計測結果(Search Console「生成 AI」・3か月)
AI機能での表示回数は合計で約1万9千回。そのうち約4分の3は、SNSの一般的なハウツー記事2本によるものでした。
一方、研修・講師・LLMOなど本業に直結するページの表示回数は、1ページあたり数十回以下にとどまっていました。
ここから言えるのは、「AIに表示されている」ことと「本業で見つけられている」ことは別物だということです。合計の数字だけを見ると順調に見えますが、ページ別に分けると、見つけてほしいページはほとんど表示されていません。計測するときは、合計ではなく本業のページ単位で見てください。
なお、この数字は「表示された回数」であって、施策の効果ではありません。表示回数が増えても、それがどの作業によるものかは切り分けられません。当社が効果を数値で断言しない理由もここにあります。
9. やらなくていいこと・後回しでいいこと
LLMO対策の解説記事では、さまざまな施策が勧められています。そのうちいくつかについて、GoogleはAI検索の最適化ガイド(2026年7月更新)で「Google検索では不要」と明言しています。
9-1. llms.txtの扱い
llms.txtは、AIに向けてサイトの要点と主要ページを案内するファイルです。2024年に提唱された仕様で、WordPressであればプラグインで生成できます。
2026年6月、Googleはガイドに「Google検索はllms.txtを使っていない」旨の記載を追加しました。ほかの主要なAI事業者についても、他社サイトのllms.txtを読んでいると公式に発表した事実は、当社が確認した範囲では見つかりませんでした(2026年9月時点)。
Web上には「主要各社が公式に対応済み」と断言する記事もありますが、その根拠が示されているものは見当たりませんでした。出典をたどれない主張は、数字であれ対応状況であれ、扱いは同じです。
当社の判断は「設置してもよい。ただし効果は期待しない」です。作成コストが低く害もないためですが、手順1から6より優先する理由はありません。
10. 制作会社・専門家に依頼するときの伝え方
手順1から3で確認した内容を、そのまま依頼文にできます。次の形で伝えれば、依頼内容として十分です。
📝 依頼文のひな形(◯◯の部分を書き換えてお使いください)
AI検索への対応状況を確認したところ、次の点がわかりました。対応をご相談させてください。
1. robots.txtの現状:◯◯(例:AI系のクローラーをまとめて禁止している)
2. サーバーのAIクローラー遮断設定:ON/OFF
3. Search Consoleの「検索の生成 AI」設定:含める/除外する
4. 構造化データで事実と異なる箇所:◯◯ページの◯◯(正しくは◯◯)
希望:AIの学習用クローラーは◯◯(許可/禁止)、検索用クローラーは許可したい。
「何をしたいか」だけでなく「いまどうなっているか」を添えると、見積もりも作業も早くなります。
11. よくある失敗
12. 続けるための工夫
一度整えて終わりにすると、半年で情報が古くなります。次の3点を決めておくと、担当者が変わっても回ります。
- 見直しの時期を決める:半年に1回、手順1から3の確認だけでも実施する。サーバーやSearch Consoleには新しい設定が追加されることがあります
- 数字の置き場所を1か所にまとめる:同じ数字を各所に直書きすると、更新のたびに食い違いが生まれます
- 月に1回、AIでの表示をページ単位で記録する:同じ条件で記録し続けると、変化に気づけます
よくある質問(FAQ)
全部やるのにどのくらいかかりますか?
手順1から3の確認だけなら1時間程度です。手順5の出典の確認は、記事数によって変わります。まずは確認だけを済ませ、直す作業は分けて進めることをおすすめします。
robots.txtが見つかりません。設置していないと問題ですか?
ファイルがない場合、原則としてすべて許可された状態になります。急いで作る必要はありません。ただし、開こうとしてサーバーエラーが表示される場合は別です。取得できない状態は、全面禁止と解釈されることがあります。
AIの学習には使われたくないが、AI検索には出たい。両立できますか?
できます。OpenAIとAnthropicは、学習用と検索用のクローラーを分けて公開しています。学習用(GPTBot・ClaudeBot)だけを禁止し、検索用(OAI-SearchBot・Claude-SearchBot)は許可する、という書き分けが可能です。Google-Extendedを禁止しても、Google検索やAIによる概要への表示には影響しないとGoogleは説明しています。
llms.txtは設置したほうがいいですか?
設置しても害はありませんが、効果は証明されていません。Googleは、Google検索はllms.txtを使っていないと公式に説明しています。手順1から6を先に済ませてからで十分です。効果を断言する説明には根拠を確認してください。
Search Consoleに「生成 AI」のレポートが見当たりません。
2026年9月時点でベータ版として段階的に提供されており、すべてのサイトに表示されるわけではありません。AI機能での表示回数が少ないサイトも対象外になることがあります。表示されない場合は、通常の検索パフォーマンスの数字で推移を見ておけば十分です。
すべて正しく設定すれば、AIに引用されますか?
保証はできません。当社自身、設定をすべて確認して問題がない状態でも、外部のAIツールから読み込めない事象が続いています。整えることには意味がありますが、整えれば必ず届くとは言えないのが現状です。
まとめ
6つの手順のうち、手順1から3と手順6は、読むだけ・確認するだけの作業です。サイトに影響しません。まず現状を知ることから始めてください。直すかどうかの判断は、そのあとで構いません。
そして、LLMO対策の中心は、何かを足すことではありません。AIを止めている設定を外し、機械に渡っている間違いを消し、会社の輪郭を言葉にすることです。書かれている内容が事実かどうかを判断できるのは社内の人だけであり、この一点において外注では代わりが利きません。
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)
株式会社PR NET 代表取締役。SNS×AI領域に特化した研修・セミナー・コンサルティングを提供。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など。大手企業から公的機関まで延べ15,000名以上にSNSとAI活用の研修を実施。「SNSは24時間365日働く営業マン」という思想のもと、広告費に頼らないSNS集客の体系化を専門とする。



