インフルエンサーマーケティングのやり方8ステップ【2026年最新】
💡 結論サマリー(30秒でわかる本記事の答え)
インフルエンサーマーケティングのやり方の基本は、フォロワー数ではなく「ブランドの世界観と相性のよい語り手」を選び、初回は小さく試して「どう語られたか」を観測することです。進め方は、目的とKPIの設計 → 候補リサーチ → 選定チェック → 依頼 → 条件の合意 → 体験・撮影 → 下書き確認・投稿 → 効果測定の8ステップです。
2023年10月にステマ規制(景品表示法)が施行され、表示の責任は広告主である企業側にあります。2024年以降は、インフルエンサーに依頼した投稿を自社サイトへ転載する際に「依頼した投稿である」との表示が抜け、措置命令を受ける事例が続いています。投稿だけでなく二次利用まで含めて設計することが、2026年のインフルエンサーマーケティングの前提です。
- インフルエンサーマーケティングの定義と、SNS広告との違い
- 目的別のKPIと、初回を「小さく試す」理由
- フォロワー数に頼らないインフルエンサーの選び方(チェックリスト付き)
- 返信がもらえる依頼DMの書き方と、報酬の決まり方
- ステマ規制の最新動向(措置命令の事例)と、契約に入れる項目
- 効果測定とレポートのまとめ方、よくある失敗と回避策
この記事は、中小企業・店舗・メーカーで販促やSNSを担当している方に向けて、株式会社PR NETがインフルエンサーキャスティングの現場で使っている判断基準と手順をまとめたものです。社内で施策を企画するときの手引きとしてお使いください。
1. インフルエンサーマーケティングとは|広告枠ではなく「信頼を借りる」施策
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つ個人に商品やサービスを体験してもらい、その人自身の言葉でフォロワーに伝えてもらうことで、認知・来店・購入につなげるマーケティング手法です。
広告枠を買う施策ではありません。インフルエンサーとフォロワーの間にある信頼関係を、いっとき「お借りする」施策です。だからこそ、台本を押し付けたり、PRの表示を曖昧にしたりすると、借りた信頼はそのまま失われます。主な舞台はInstagram(インスタグラム)ですが、TikTok・YouTube・Threadsなどでも考え方は同じです。
1-1. SNS広告との違い
1-2. 市場は拡大中。だからこそ「誰に、どう頼むか」で差がつく
株式会社サイバー・バズと株式会社デジタルインファクトの共同調査(2024年11月発表)によると、国内のインフルエンサーマーケティング市場は2024年に860億円(前年比116%)の見込みで、2029年には1,645億円に達すると予測されています(出典:宣伝会議 AdverTimes「ソーシャルメディアマーケティング市場は1兆2000億円へ サイバー・バズ調査」)。
市場が大きくなるほど、人気のインフルエンサーには企業からの依頼が集まります。中小企業や店舗が予算の大きさで大手と競っても勝てません。勝負どころは「誰に頼むか」と「どう頼むか」の解像度です。
2. インフルエンサーマーケティングのやり方|8ステップの全体像
インフルエンサーマーケティングは、次の8ステップで進めます。各ステップの詳細は、このあとの章で順に解説します。
PR NETでは「核心は人間、周辺はAI」という考え方で進めています。候補の洗い出し、数値の集計、レポートの下書きはAIに任せ、世界観の相性の判断、関係づくり、最終決定は人が行います。効果測定で相性が分かった語り手には、次回はステップ5(条件の提示)から声をかけます。回を重ねるほど速く、深くなるのがこのやり方の利点です。
3. ステップ1:目的とKPIを決める
最初に決めるのは「この施策で何を確かめたいか」です。目的によって、選ぶインフルエンサーの規模も、見るべき数字も変わります。
3-1. 初回は「小さく試して、語られ方を観測する」
初回から20名規模で一斉に投稿してもらうと、反応が出ても出なくても「何が効いたのか」が特定できません。予算だけが消え、次に活かせる学びが残らないのです。
ある日本酒の新ブランドのご相談では、当初20名での一斉PRをご希望でした。PR NETからは否定せずに持ち帰り、まず5名前後で1か月試し、反応の出る文脈を見極めてから広げる設計をご提案しました。大きな展開は、相性が分かってからでも遅くありません。
- 売上やフォロワー増だけをKPIにしない:単価の低い商品は、投稿1本あたりの費用対効果が見えにくいため
- 「手元に何が残るか」を契約前に言葉にする:反応が出やすい文脈の整理、次回施策の判断材料など
- 手応えが出たら段階的に広げる:相性のよかった語り手に継続して依頼し、人数と期間を少しずつ増やす
4. ステップ2〜3:インフルエンサーの選び方
選ぶのは「世界観が合い、今まさに反応が出ていて、PRを前向きに受け入れてくれる個人」です。フォロワー数は判断材料の1つにすぎません。なお、本記事でいうインフルエンサーは、個人として発信して影響力を得た方を指します。芸能人や、企業が運営する大規模メディアアカウントは別の考え方が必要です。
4-1. フォロワー規模の使い分け
店舗やサロンの来店が目的なら、全国に10万人のフォロワーがいる人より、商圏に住む5,000人に見られている人のほうが来店につながりやすい、というのが現場の実感です。
4-2. 声をかける前のチェックリスト
- エンゲージメント:いいね・保存数、直近のリールの平均再生数、ストーリーズの閲覧数
- 勢い:アカウント開設からの期間とフォロワーの伸び方。「今、反応が出ている」か
- 商品との親和性:関連する物にお金をかけている人か(例:ペット用品なら、ペットにおもちゃや服を買い与えているか)
- フォロワー層:性別・年代・居住地の比率。店舗PRでは商圏内に住む人の比率を必ず確認する
- PR実績:過去のタイアップ投稿と、そこからの予約・問い合わせの実績
- PR投稿の多さ:PR投稿ばかりの人は、フォロワーからの信頼が薄まっていることがある
- コミュニケーション:コメントにこまめに返信している人は、DMの返信率も高い傾向がある
- 世界観の固さ:ブランディングが強い人には、フィードではなくストーリーズでの紹介を打診する
- 専門アカウントの当て方:初心者向けの商品は、専門家より「食・暮らし・ギフト」など周辺ジャンルの人が合うことがある
- 競合関係:同業の経営者などは、競合にならないコラボの形を検討する
4-3. 候補の探し方と、AIを使ってよい範囲
- 地域×ジャンルのハッシュタグ(例:「#横浜カフェ」「#〇〇市美容室」)で投稿者を洗い出す
- ChatGPTなどの生成AIに候補を出してもらうのは「洗い出し」まで。居住地は自己申告にもとづき、フォロワー数も時点で変わるため、依頼前に必ず本人のアカウントで最新の状態を確認する
- 候補リストは「名前|URL|フォロワー数|連絡経路|優先順位|DM送付日|返信|備考」で管理し、「案件不可」「高額」などの結果も残して次回に活かす
5. ステップ4〜5:依頼の仕方と報酬の決め方
個人のインフルエンサーは、条件の良さよりも「好意」や「この人たちと一緒にやると楽しそう」という気持ちで動くことが多いものです。最初から条件を並べると、相手も「報酬はいくらですか」とビジネスライクに返してきます。
5-1. インフルエンサーが依頼を断りたくなる理由
- 企業よりも、インフルエンサー同士の横のつながりを大切にしている(案件の紹介も多い)
- 契約・縛り・個人情報の記入など、面倒な手続きを嫌う
- 法人の無機質で上から目線の連絡にうんざりしている
5-2. 返信がもらえるファーストDMの5つのポイント
- 自社のプロフィールを整える:信頼できる法人、または顔と名前の分かる担当者として連絡する
- 「アカウントを見ている」ことを伝える:投稿の感想や共通項を一言添える
- 「なぜあなたなのか」を伝える:たくさんの候補の中から、その人にたどり着いた理由を明確にする
- 理念を共有する:「私たちは〇〇という思いで取り組んでいます」と伝える。理念とメリットはバランスよく
- お願いは小さく、明確に:「はい/いいえ」で答えられる一文で終える
〇〇さん、はじめまして。株式会社〇〇の〇〇と申します。
いつも投稿を拝見しています。特に〇〇の投稿の「〇〇」という言葉が印象に残っています。
今回、〇〇(店名・商品名)を紹介してくださる方を探しています。〇〇な暮らしを大切にされている〇〇さんの言葉でなら、きっと自然に届くと感じ、ご連絡しました。
よろしければ、1分でご覧いただける詳細をお送りしてもよろしいでしょうか?
「以下のフォーマットに従って希望条件を教えてください」のような依頼は、相手に作業を押し付ける印象になります。顔が見えない、テンプレートの一斉送信、自社の利益だけを書いたDMは、読まれずに削除されると考えてください。
返信をもらえたあとも、契約や入力作業は、信頼関係ができてから段階的に出します。オンラインで打ち合わせるときは顔を出し、資料の読み上げよりも「一緒によいものを作りたい」という思いを伝えます。報酬だけでなく、「アンバサダー」などの肩書きや、ブランドと一緒に取り組むこと自体の価値も、相手にとってのメリットになります。
5-3. 報酬の3つの形と、金額の決まり方
インフルエンサーへの報酬には、公的な統計にもとづく「相場」はありません。金額は、主に次の5つで決まります。
- フォロワー数とエンゲージメント(直近の再生数・保存数)
- 依頼内容(フィード・リール・ストーリーズの本数と組み合わせ)
- 写真・動画の二次利用の範囲と期間
- 事務所や仲介会社を通すかどうか
- 撮影の手間、交通費、追加注文などの実費の負担
依頼前に本人へ「投稿・リール・ストーリーズのセット料金」と「無償招待・商品提供・有償のどれを受けているか」を確認し、税込か税別かを必ず書面でそろえて比較します。
6. ステマ規制と契約|2026年に押さえておきたい法令のポイント
2023年10月1日から、景品表示法にもとづくステルスマーケティング規制(いわゆるステマ規制)が施行されています。企業が依頼して投稿してもらう場合は、必ず「PR」などの表示が必要です。金銭の報酬だけでなく、無償の招待や商品提供をきっかけにした投稿も、依頼の内容や企業とのやり取りによっては対象になります(出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」)。
6-1. 責任を問われるのは広告主である企業側
- 規制の対象は広告主:依頼を受けて投稿するインフルエンサーは、原則として規制の対象外です。違反があれば、広告主である企業が措置命令の対象になります
- 過去の投稿も対象になり得る:施行前の投稿でも、施行後に表示が続いていれば行政処分の対象となる可能性があります
- 代理店に任せても責任は残る:進行を外部に任せる場合も、PR表示の確認は自社でも行います
6-2. 措置命令の事例から見える落とし穴は「自社サイトへの転載」
2024年6月には、ステマ規制にもとづく初の措置命令が出されました。医療機関が、Googleマップに高評価の口コミを投稿することを条件に料金を割り引いた事例です(出典:牛島総合法律事務所によるクライアントアラート)。
その後、2024年8月から2026年6月にかけて、消費者庁は少なくとも4件、インフルエンサーにInstagramへの投稿を依頼し、その投稿を「依頼したもの」と示さずに自社サイトへ転載していたメーカーなどに措置命令を出しています(出典:松田綜合法律事務所による4事例の解説)。2025年3月には東京都も、仲介事業者を通じてインフルエンサーに依頼した投稿を、表示なく自社の販売サイトに掲載していた通信販売事業者に措置命令を出しました(出典:東京都 報道発表)。
共通しているのは、SNS上の投稿そのものよりも、自社サイトや広告に転載した段階でPRの表示が落ちていたことです。インフルエンサー施策の担当者と、自社サイトや広告の担当者が別の場合は、案件の情報を必ず共有してください。
6-3. PR表示の求め方
- Instagramのブランドコンテンツ機能(タイアップ投稿ラベル)の使用を条件にする
- 投稿文にも「#PR」や「〇〇様から商品提供を受けています」などを入れてもらう。文言は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などが例として示されています
- 表示は投稿本文の中で分かる位置に置く。リプライやツリーにだけ書くと、明瞭とはいえない場合が多いとされています
- 動画は冒頭だけでなく、途中から見た人にも分かるよう全体を通じて表示するのが望ましいとされています
- 投稿を自社サイトや広告に転載するときは、そこにも「インフルエンサーに依頼した投稿です」と明示する
6-4. 禁止事項と、業種別の注意点
- 禁止:関係者が第三者を装う投稿、対価を隠した投稿、他社製品を低く評価する依頼
- 口コミサイト:飲食店の口コミサイトなどへの投稿を依頼するときも、対価があることを明示してもらう。星の数やコメント内容を条件にしない
- 美容・健康・医療:「治る」「シミが消える」など効能効果を断定する表現は薬機法・医療広告の観点からNG。ビフォーアフターの扱いも事前に取り決める
6-5. 契約書・依頼書に入れておく項目
- 投稿内容:媒体と本数(例:ストーリーズとフィードを各1本)、投稿期限
- 掲載期間(例:最低1年間)と、削除するときの扱い
- 指定のメンション・ハッシュタグ・リンクスタンプ、PR表示とブランドコンテンツ機能の使用
- 下書きを事前に共有してもらうかどうか
- NG事項:一般の方の映り込み、通行の妨げ、商品や地域への批判、政治的な発言、差別的な表現
- インサイトの提出(例:投稿1週間後にスクリーンショットを共有)
- 二次利用:写真・コメント・お名前(ペットの名前も)を公式サイトや広告で使えるか、その範囲と期間
- 報酬:金額(税込/税別)、提供内容、交通費や追加注文の負担
- キャンセル・日程変更の規定
- 応募型の場合の資格(例:18歳以上、本人による応募)
プレゼントキャンペーンを組み合わせる場合は、応募資格・期間・当選の連絡方法・個人情報の扱い・免責を定めた規約を別に用意します。法的な判断が必要な場面では、弁護士などの専門家に確認してください。
7. ステップ6〜7:ディレクションと投稿管理
台本は作らず、「必ず入れてほしいこと」だけを指定します。PR臭い投稿より、本人の言葉で語られた体験のほうがフォロワーに届くからです。
- 必須と任意を分ける:訴求ポイントは★印の必須を3つ程度に絞り、残りは「入れていただけたら嬉しい」にする
- 撮影のイメージを共有する:1枚目の構図だけ必須にして参考画像を添える。商品単体より、集合写真や手を添えた写真のほうが反応がよい傾向があります
- 生活者目線をお願いする:「広告感のない写真と投稿文」を狙いとして伝える
- 下書き確認は事実確認だけ:PR表示・指定タグ・価格や住所の誤り・法令上NGな表現を見る。表現の好みでは直さない
- 進行の流れを決めておく:予約(DMで希望日時・人数・連絡先)→ 体験・撮影 → 下書き共有 → 投稿 → 完了報告(投稿URL)→ インサイト共有(1週間後)
- 管理表で追う:名前|フォロワー数|報酬|来店日|下書き|投稿日|投稿URL|インサイト受領
たとえば神奈川の鰻店のご依頼では、必須の訴求を「★最寄駅」「★内装へのこだわり」「★神奈川で関西風の鰻が食べられること」の3つに絞り、ほかは本人の表現にお任せしました。指示を減らすほど、その人らしい言葉で語られます。
8. ステップ8:効果測定とレポートのまとめ方
レポートは「数字」と「言葉」の2本立てで作ります。数字はインサイトで集め、言葉はコメントやDMの中身から拾います。
- レポートの最後は「次も依頼したい語り手」と「次回の切り口」で締めくくる。小規模な施策なら1枚の簡易レポートで十分です
- 公式アカウントの受け皿(プロフィールやハイライト)が弱いと、せっかく流入しても離脱します。施策の前に公式アカウント側も点検しておきます
Instagramの数字の読み方は、インスタの効果測定|見るべき指標と数字の読み方で詳しく解説しています。
9. インフルエンサーマーケティングのよくある失敗と回避策
10. PR NETの現場から|「相性」を見極めた4つの判断
PR NETがインフルエンサーキャスティングのご相談で実際に行った判断を、業種別にご紹介します(お客様の情報保護のため、社名・店名は伏せています)。
どの判断にも共通しているのは、「フォロワー数の大きさ」ではなく「この人の言葉なら、このお客様に自然に届くか」で選んでいることです。
よくある質問(FAQ)
まとめ|インフルエンサーマーケティングは「語り手選び」と「小さく試す」から
インフルエンサーマーケティングのやり方は、目的とKPIを1つに絞り、フォロワー数ではなく世界観の相性で語り手を選び、初回は小さく試して「どう語られたか」を観測することが基本です。相性が分かった語り手には継続して依頼し、人数と期間を段階的に広げていきます。
あわせて、ステマ規制の責任は広告主である企業側にあります。PR表示の確認は、SNSへの投稿時だけでなく、自社サイトや広告へ転載するときまで含めて行ってください。インフルエンサーは広告枠ではなく、フォロワーとの信頼関係そのものです。その信頼を尊重する企業ほど、長く語ってもらえるブランドになります。
著者プロフィール|上村菜穂(株式会社PR NET 代表取締役)
株式会社PR NET 代表取締役。SNS×AI領域に特化した研修・セミナー・コンサルティングに加え、インフルエンサーキャスティングやSNS運用代行も手がける。これまでの登壇・研修先は、ダイハツ工業・東芝テック・ロート製薬・POLA・楽天大学(楽天グループ)・東京大学・東京都中小企業振興公社・各地商工会議所など、全国で延べ15,000名以上。これまでに100以上の企業・団体・事業者とお仕事をご一緒し、500件以上のSNSアカウントを個別に指導。「SNSは24時間365日働く営業マン」という思想のもと、広告費に頼らないSNS集客の体系化を専門とする。詳しくは上村菜穂|企業向けAI研修・SNS集客研修講師(株式会社PR NET 代表取締役)をご覧ください。
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